ゲストにとってもシェフにとっても「特別」な場所づくり

  • 所在地 横浜市神奈川区平川町
  • 着手期間 2021年9月〜2022年2月
  • クライアント 個人

課題・要望

クライアントは、『CHILL』のシェアキッチンを利用したことのあるシェフ。ご自分のお店を構えるに当たって、店づくりのプロデュースをご依頼くださいました。お店の物件選びからコンセプトワーク、内外装デザインのディレクションから、ワイン選びもお手伝いさせてもらいました。

before

提案

某有名ホテルのレストランで長年勤め上げてきたシェフの腕は超一流。料理一筋の職人気質で、「僕は料理のことを考えるから」と、「どのような店にするのか」についてを弊社に委ねてくれました。シェフの好みや価値観をより深く知るために奥様と娘さんにも協力してもらいながら、打ち合わせを重ねていきました。

「本当に良いものを、良い空間で食べてもらいたい」「星いくつのお店を目指すのではなく、ゲストにいつでも“最高の普通”を提供できる店にしたい」。それは、寡黙なシェフが話してくれた、店への想いでした。有名になることや千客万来の繁盛店になるよりも、自分自身の精神的なゆとりも大事にしながら、料理とお客さまに真摯に向き合える場所であること。彼の望む生き方とお店の在り方を両立させるために、お店の規模と席数、回転率と客単価なども鑑みて、プロデュースしていきました。

お店づくりは、物件選びからお手伝いしました。当初、有力候補に挙がった物件はリバーサイドで、一見レストラン向きでしたが、マンションの1階にあり、すぐ上の階のベランダに洗濯物が並んでいるような環境でした。人々の生活感が露出する場所はイメージに向いていないと思い、見送りました。最終的に選んだのは、目貫通りから少し入ったところにある小さなビルの1階。「日常の延長線上にある特別な場所」にぴったりなロケーションでした。

 

内装は、店に訪れる近隣の人にとっても、シェフにとっても「特別な場所」として、日常が少しアップグレードされるような大人な空間。グレーと木を基調として、硬質な素材感も取り入れながら、上質ながらもあたたかみがある雰囲気に仕上げました。

ファサードは、外壁を落ち着いたブルーグレーで塗装しました。シェフからの「青がいい」というリクエストを受け、シェフと一緒に各所の建物を巡り、イメージする「青」を具体的にしていきました。ファサードのガラスドアとガラス壁は既存のもので、フレームを黒で塗装してシックな佇まいにしました。既存を活かしたのはコストのこともありましたが、店内の明かりが漏れ、中の様子が見えることは、ロケーションやお店のコンセプト的にも向いていました。隠れ家レストラン的な閉ざされた場所ではなく、まちに開かれた「みんなの特別な場所」になりました。

今回のお店づくりでは、立地をベースにターゲティングも行い、料理の価格帯やターゲットイメージに合うワイン選定のお手伝いもしました。

店を切り盛りするシェフにとって、店は第2の我が家のような場所。店としてのあり方、料理人としての料理との向き合い方、自分の働き方。クライアントが理想とする「これからの生き方」を叶えるお手伝いができたことを、光栄に思います。

 

 

担当:和泉直人・佐藤舞子

設計:bonvoyage・LAYOUT TOKYO

施工:LAYOUT TOKYO

ロゴ制作・写真:菅野葉菜

ペイント協力:Barbish paint 浅賀剛

AFTER