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さびれた旅館を人気旅館へ再生した事例

川崎市の日進町エリアには、高度経済成長期の建築ラッシュを支えた日雇い労働者の方々の定宿だった簡易宿所が、50軒程ありました。
ですが時代が変わり、簡易宿所としては需要がなくなり、廃業する宿が後を立ちませんでした。加えて、2015年には大規模な火災があり、10名を超える方が命を落とすこととなりました。当時は適法化にない木造三階建ての宿であり、火災後は厳しい行政指導が入り、営業可能範囲が狭まることによって営業継続が出来なくなる宿が相次いだ様でした。

僕が呼ばれたのはその真っ只中の一軒の宿で、まさに廃業しようとしていました。ここを新しく継いで、なんとか再生して欲しいという行政からの意向を受けたオーナーとともに内見をし、再生プランの検討を始めました。
コストの制限と、駅から徒歩10分という宿としては非常に距離があるというデメリットなどから、少々の目新しさでは再生はできないと考え、一部屋一部屋を異なるアートで彩り、”美術館で寝る”という基本構想に至りました。そして単にアートで飾るだけではなく、川崎が持つネガティブな要素も含む様々な文化や歴史的背景にリスペクトして、それらをアートに昇華していく方法を採用しました。そうする事で、この場所の独自性を確保でき、流行に囚われないサステナビリティーを帯びたコンテンツになると考えました。

様々なアーティストに協力してもらい、川崎らしいアートに溢れた宿として再生させ、現在は川崎市で泊まりたい宿No. 1(楽天トラベル)を獲得するまでに至りました。
これは、その場所の特性を活かして、コンテンツの質を決定し、実行して成功を収めている事例です。

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