このプロジェクトは、3区画の新築住宅と、既存の1区画をリノベーションした計4区画による街区開発です。
新築住宅においては、「建築条件・設計条件」をあえて設け、ランドスケープや植栽、外壁色に至るまで、事業者である私たちがディレクションしました。自由度の高い“土地分譲”とは真逆をいく、いわば“制約のある土地分譲”。これだけ聞くと窮屈に思われるかもしれませんが、私たちは建物単体での価値最大化ではなく、“街区全体での価値最大化”こそが、住戸一つひとつの価値を引き上げる最良の道だと考えました。
結果として、最初に内見に訪れた3組のご家族すべてが即成約という、100%成約率を記録しています。
借景を愛で合う
街区全体を全一にデザインする
ことで豊かさを生み出す
街区全体を全一にデザインする
ことで豊かさを生み出す

REQUEST
- 自分が生まれ育った土地を相続したクライアント
- 等々力渓谷に寄り添うように存在するこのエリアも、時代と共にペンシルハウスが増えてきた
- とはいえどんな姿が良いのかの具体的な案はない....なんとか豊かな場にしたい
所在地 | 東京都世田谷区 |
クライアント | 個人(地主) |
"がんじがらめ"が豊かさを生み出す逆転の発想
コーポラティブの思想を取り入れた全一開発
不動産事業においては、短期で売り切ることが重視されがちです。そのため、「自由度の高い設計」や「価格のお得感」が強調される傾向にあります。そんな中で「制約をあえて設ける」本プロジェクトは一見理解されにくいものだったかもしれません。しかしこれは、“住のリテラシー”を押し上げ、長期的に価値を最大化させる挑戦でした。
たとえば、基本計画の段階で、風と光の流れを可視化した「風と光の環境図」を夏と秋の両パターンで作成し、パッシブな住宅設計を提案。設計には、構造・意匠に加えて温熱環境アドバイザーも加わり、環境性能を徹底的に検討しました。
開発道路(位置指定道路)には、当時世田谷区で初となる「緑化道路」を導入し、街区全体の緑視率を向上。植栽は各戸ごとに四季を感じられる樹種を配置し、自宅から見える隣地の緑までも“借景”として取り入れるよう設計されています。
さらに、外壁色は道路奥に向かって明度を下げ、対角線で彩度を整えることで、空間に奥行きを感じさせる色彩計画としました。これらの制約の一つひとつが、「全一」という思想の中で設計された、価値を共有するためのルールだったのです。
たとえば、基本計画の段階で、風と光の流れを可視化した「風と光の環境図」を夏と秋の両パターンで作成し、パッシブな住宅設計を提案。設計には、構造・意匠に加えて温熱環境アドバイザーも加わり、環境性能を徹底的に検討しました。
開発道路(位置指定道路)には、当時世田谷区で初となる「緑化道路」を導入し、街区全体の緑視率を向上。植栽は各戸ごとに四季を感じられる樹種を配置し、自宅から見える隣地の緑までも“借景”として取り入れるよう設計されています。
さらに、外壁色は道路奥に向かって明度を下げ、対角線で彩度を整えることで、空間に奥行きを感じさせる色彩計画としました。これらの制約の一つひとつが、「全一」という思想の中で設計された、価値を共有するためのルールだったのです。
住まい手同士の関係性もデザインする
すべての契約が完了した後は、住民同士の関係性づくりに力を注ぎました。法的な共有関係はないものの、将来的な大規模修繕や売却に際しての合意形成をスムーズにするために、紳士協定レベルのガイドラインを設けています。
ただし、運命共同体のような密な関係性は求めていません。あくまで心地よい距離感の“つながり方”を設計することが目的でした。
各住戸の住まい手が、設計コンセプトをお互いにプレゼンし合い、隣人としての安心感やセキュリティについて語り合う機会も設けました。
竣工後には、中央のパティオ的な共有空間に全世帯が集まり、BBQなどを楽しむ場も生まれています。
街を単なる分譲ではなく、「人と場の関係性」までを含めてデザインする。
これからの住宅地に必要な“豊かさ”とは何かを問い直すプロジェクトとなりました。
ただし、運命共同体のような密な関係性は求めていません。あくまで心地よい距離感の“つながり方”を設計することが目的でした。
各住戸の住まい手が、設計コンセプトをお互いにプレゼンし合い、隣人としての安心感やセキュリティについて語り合う機会も設けました。
竣工後には、中央のパティオ的な共有空間に全世帯が集まり、BBQなどを楽しむ場も生まれています。
街を単なる分譲ではなく、「人と場の関係性」までを含めてデザインする。
これからの住宅地に必要な“豊かさ”とは何かを問い直すプロジェクトとなりました。
担当 | :和泉直人(※前職時代からの事例) |