土地活用×事業継承×地域貢献の3層構造
岡本太郎生誕の地で地主ができること
岡本太郎生誕の地で地主ができること

REQUEST
- 買い増した隣地の利活用を検討していた
- 自分から息子に相続する際に、最適な形を今から模索したい
- 人と人がゆるやかに繋がる、コミュニティ型の賃貸住宅はできないだろうか?
所在地 | 神奈川県川崎市 |
クライアント | 法人(地主) |
まちと子どもたちに開く、新しい資産のかたち
田園都市線・二子新地駅からほど近く、古くから続く大山街道沿いの住宅街。その一角に建つ『CIRCLE』は、地域と世代をゆるやかにつなぐ、三層構造の複合建築です。きっかけは、「新たに取得した隣地を、どう活かせばいいのか?」という地主さんからのご相談。事業としての利回りだけでなく、「地域への貢献」や「家族への継承」も見据えたとき、一般的なRC造マンションという答えでは、どうしてもピンとこない。そんな問いの先に生まれた、新しい不動産活用のかたちです。
「つながる余白」まで設計した土地活用
隣には、クライアントが28年間経営してきたしてきたRC造の賃貸マンション。そこに新たなRC建築を並べれば、将来的に減価償却のタイミングがズレ、土地の一体運用も難しくなる。そこで私たちは、建築的・会計的な未来のシナリオまでを視野に入れ、減価償却年数のゴールをある程度合わせ、将来的な一帯開発の可能性を残すべく、木造3階建てを提案しました。1階には地域に開いた飲食店、2〜3階には賃貸住居。加えて、敷地の境界塀を撤去し、隣接する旧建物とのあいだにポケットパークを整備。暮らす人・働く人・地域の人が交わる、余白を持った場づくりを実現しました。
「子どもたちの居場所にしたい」という想い
1階のテナント募集は、「子ども食堂を定期的に開催すること」を条件として行いました。それは、かつて隣接建物で駄菓子屋を営み、地域の子どもたちを迎え入れていたクライアントの母の記憶に端を発する願い。共働きやシングル家庭が増えた今、学校でも家庭でもない“まちの居場所”を、飲食店というかたちで取り戻したい。そんな思いに共感したシェフが参画し、設計段階から意見を交えながら店舗づくりを行いました。話し合いの末、子ども食堂こそ開催されませんでしたが、レストラン店主はクライアントが開催する定期的なイベントに協力したり、地域のお祭りに積極参加したりと、よき関係性が継続しています。建築と事業者が一体となって立ち上げたからこそ、時間が経過しても変わらぬ温度感で運営が続いているのだと思います。
暮らしの中に、まちとの接点を
住居フロアにも、“ただ貸す”では終わらない設計思想が反映されています。2階の入居者は、「寺子屋」を開催してもらっています。大人向けにも子供向けにも、様々な講座が50回以上開催されました。転勤によってこの場所は違う運営位となりましたが、3階の部屋は、地域住民の教室やサロンとしてそのまま活用され、住まいがそのままコミュニティスペースへと役割を変えていきました。この建物がもつ柔軟さは、地域に根ざすオーナーだからこそ生まれたもの。そしてその柔軟さこそが、地域への信頼や、長期安定運用につながっているのです。
資産を、建物資産以上の「価値」に変える
収益性か地域貢献か、短期か長期か、という二項対立のなかのみで答えを出すことはしていません。地主の想いと、土地のポテンシャル、そして未来に渡すバトンのかたちまでを読み解き、「全体最適」をプロデュースすることが、私たちの役割です。
『CIRCLE』という名前には、“人・場・世代が循環する”という意味が込められています。この場所は、現在も地域の方々の関わり濃度が年々増し続け、地域と共に価値を育てる不動産活用の実践例として、次なる可能性をひらいていきます。
bonvoyageでは、プロデュース後の場の運営を1年間伴走し続け、その後は地主の顧問という役割でサポートしております。
『CIRCLE』という名前には、“人・場・世代が循環する”という意味が込められています。この場所は、現在も地域の方々の関わり濃度が年々増し続け、地域と共に価値を育てる不動産活用の実践例として、次なる可能性をひらいていきます。
bonvoyageでは、プロデュース後の場の運営を1年間伴走し続け、その後は地主の顧問という役割でサポートしております。
担当 | :和泉直人(※前職時代の事例) |