Works手がけたプロジェクトたち

住宅地に突如現れるパン屋さん。
自宅を改修し、週3日のみの営業で
大繁盛店となった事例
建築プロデュース
リノベーション
住宅
商業施設
REQUEST
  • 自宅を改装して念願だったパン屋さんを創りたい
  • 予算はないが、愛と夢はある
  • 将来は夫婦で営むパン屋にもしたいと考えている
所在地北海道釧路市
クライアント個人
人生の集大成をパンに乗せる
北海道・釧路市の住宅街。夕暮れ時、ほのかに灯るガラス越しの明かりに、静かに吸い寄せられるようなパン屋『Jimico.』があります。
クライアントはこれまで、自宅でパンや焼き菓子の教室を続けてきた女性。釧路のまちづくりを通じて私たちと出会い、関東まで足を運んで『CHILL』や『hatome』を訪れ、「人生の集大成としてパン屋を開きたい。そのお手伝いは絶対にbonvoyageにお願いしたい」と言ってくださいました。
パンと人が、あたたかく主役になる場所
お店となったのは、子どもたちが巣立ち、静かになったご自宅の1階。
「夕ご飯でもしっかり食べてもらえるパンを届けたい」との想いから、営業は15時〜19時の4時間だけ、週3日のみという、まさに暮らしのリズムから導き出された営業スタイルです。
ファサードは、日が短い釧路の空に溶け込むような黒を基調にし、夕暮れどきにいちばん美しく見えるように設計。静かな住宅街に浮かぶあたたかい光の中で、パンと向き合うクライアントの姿が、まちの空気をやわらかく包み込んでいます。
ひとりの人生からはじまる、まちの風景
店名は、長年親しまれてきた屋号「Jimipan」に“仲間”を意味する「co」を加えて、『Jimico.』に。
クープ(パンの割れ目)のかたちがつながっていく様子をモチーフにしたロゴには、家族や友人、パンづくりを通じて出会った人々への感謝と敬意が込められています。
住宅の改装にあたっては、地元の設計士や工務店と連携し、保健所・消防など行政手続きも丁寧にサポート。
はじめて事業を立ち上げる個人の想いや空気感を壊さぬよう、そっと寄り添いながら、地域に根ざした小さな場をかたちにしていきました。
いくつもの大病を乗り越えながら、まっすぐに「食」と向き合ってきたクライアントの姿は、地域の人々にとってまるで灯りのよう。
『Jimico.』は、ひとりの人生からはじまったあたたかな風景が、静かにまちに溶け込んでいくような、そんなパン屋です。
担当:和泉直人