Works手がけたプロジェクトたち

再開発で変わりゆく街の灯を消さない。
さぎぬまの変わりゆくはざまを心地よく
地域デザイン
公共空間
再開発
OVERVIEW
  • 再開発期間中もこのまちの灯を消さず、住みたい、住み続けたいまちにするために
  • 小学校や商店街など地域と二人三脚で歩んできたプロセスを通じて、「住み続けたいまち」への共感を醸成
  • 変化の途中こそがまちへの愛着を深める機会となるよう設計し、ウォーカブルで人が主役の都市空間を共創
変化に寄り添う、地域との対話
鷺沼駅前の再開発を前に、2022年より私たちは地域と協働しながら機運醸成のためのイベントを実施してきました。一方的な説明や情報発信ではなく、変化のプロセスをまちと人で共有することを大切にし、地域が前向きに参加できる場づくりを目指してきました。懐古主義に留まらず、けれど寂しさをこらえるだけでもなく、「このまちに住み続けたい」と思ってもらえるように、記憶と未来を行き来するような時間をデザインしています。
回遊するまち、交わる声
2022年に開催した「スイッチ!サギヌマ」では、駅前の主要動線を活用して、アート、フード、モビリティ、スポーツなど多様な体験を展開。鷺沼小学校を拠点のひとつとし、地域の小学校や商店街とも連携し、子どもたちがまちづくりを学ぶ機会にもなりました。並木道にはアートを施し、思わず歩きたくなるような回遊動線を創出。また、廃材を利用した絵馬でつくった"まちづくり神社"では、再開発後の鷺沼への願いや期待を綴ってもらい、地域の声を可視化しました。
駅前に広がる、新しい風景
2023年は「さぎ沼秋祭り」と連携し、商店会や鷺沼小学校とともにイベントを共創。再開発に伴い廃道予定の駅前道路を一時的に通行止めとし、そこに緑の風景“アーバンフォレスト”を創出しました。これは前年の"まちづくり神社"で多数寄せられた「緑が多いまちにしたい」という市民の声を形にしたもので、ウォーカブルで脱炭素な未来都市の象徴ともなりました。また、鷺沼小学校とも連携し、総合学習の一環として古着を活用したガーランドを制作してもらい、PTAや学校の先生、一部生徒たちと共に会場を装飾しました。
継続していくまちの想い
2024年も再開発予定地の駅前道路を舞台に、地元商店会や鷺沼小学校と連携したイベントを開催。これまでの企画に加え、再開発により鷺沼駅前へ移転予定の宮前図書館を見据え、本の魅力に触れ、地域の方々が気軽に本と出会えるコンテンツを多数展開しました。また、昨年のアーバンフォレストを発展させ、植栽で彩られたロングテーブルを設置。来場者が自然と譲り合いながら一つのテーブルを囲む光景が、まちに心地よい共在感を生み出しました。さらに、廃道予定の鷺沼線に親しみを持ってもらえるよう、チョークで自由にお絵かきできる路上体験も実施しました。
まちの商業施設に、みんなでお別れ会をする
長く地域に愛されてきた駅前ショッピングセンター「フレルさぎ沼」の閉館にあわせ、感謝とお別れを伝えるイベントを開催しました。まずは駅前道路で集まった人たちと乾杯し、地元住民による閉館式や、鷺沼在住芸人である囲碁将棋のお別れ漫才、プロジェクションマッピングとコンテンポラリーダンサーによるお別れの舞いなどを行い、愛され続けた"フレルさぎ沼"のお別れ会をみんなで開催。さらに「ありがとう写真展」では、各テナントのスタッフが働く姿を撮影し、店舗から来場者へのメッセージを添えて展示しました。店内一部と外壁には「さようなら寄せ書き」を設け、思い出や感謝の言葉を自由に綴れる場を用意。フレル前の道路には自然と人が集まり、思い出を語り合いながらまちの大切な場所を見送る、あたたかな時間が生まれました。
駅前の公共空間が記憶と感謝を共有する温かな舞台となり、多くの人々の心に刻まれています
これから変わりゆく街と。
再開発によって姿を変える鷺沼のまち。その変化の途中にも、人々の記憶や想いがあります。私たちは、地域と共に歩みながら、その過程も大切にするまちづくりを目指しています。まちと人との関係が、これからも育まれていくように。