Works手がけたプロジェクトたち

「カワサキ文化会館」。
元パチンコ店を改装した、アーバンカルチャーの発信基地
建築プロデュース
リノベーション
再開発
商業施設
REQUEST
  • 京急川崎駅前に誕生した、アーバンスポーツと若者文化の複合拠点の創出
  • 元パチンコ店という特殊な空間を、スポーツとアートが交差するカルチャー拠点へと再生
  • 再開発予定区域内にあるために解体前提としながら、今後進む"アリーナ計画に続く"ためのカルチャー醸成の場を目指した
所在地神奈川県川崎市
クライアント法人
期間限定の文化発信拠点
本プロジェクトのクライアントはB.LEAGUE所属のプロバスケットチーム「川崎ブレイブサンダース」を運営する株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース。京浜急行電鉄から川崎市が借り受けた元パチンコ店を活用し、再開発に伴う建物解体までの限られた期間の中で、アーバンスポーツ文化を牽引する場をどう作るか、が本プロジェクトのテーマでした。
アートや様々な要素と融合する
スポーツが単体して存在するのではなく、アートや様々な要素と融合することで複合的な視野になり、場としての価値が増幅すると考えました。
施設内には、3×3バスケやスケートボード、ブレイキン、ダブルダッチ、eスポーツといった都市型スポーツの体験エリアを設置。地元を拠点とする世界的チームやプロ選手によるスクールやイベントも展開されます。スポーツのみならず若者文化の発信拠点とするコンセプトから、壁面やインテリアにはストリートカルチャーやストリートアート、グラフィックやイラストレーションを採用。スポーツとアートが自然に交差する、地域の文化発信のハブを目指しました。
また、アート部分に関しては、当初から作り込みすぎるのではなく、建物の場の成熟度の進行に合わせてチューニングできるように、多分に余白を残しました。
時間軸を感じる空間設計
本プロジェクトの大きな特徴は、解体が予定された期間限定の拠点であることです。限られた予算の中でローコストに空間をつくり上げる必要があったために、新しく追加する要素は最小限に。その代わり、元パチンコ屋という、昭和の残り香が明日いわゆる「過剰装飾主義」の権化のような建物だったので、その要素がアーバンスポーツの聖地となるに向けて、絶妙な引き算を実施して出来上がるカオスを楽しむ、「解体に向けた引き算を楽しむ場所」というテーマを設けました。かつてのパチンコ店の装飾や構造をあえて残し、「記憶のモニュメント」として再解釈。独特の照明や大きな換気ダクトなど、解体過程で現れた素材をライトアップやオブジェとして活用。パチンコ店の過去、新たな若者文化の表現、未来の解体という時間軸を空間全体で感じられるよう設計しています。
未来につながる素材選び
新たに付け加える要素は最低限に抑えつつ、解体時も廃棄にならず再利用可能な単管パイプや輸送用パレット、コンテナなどを積極採用しました。FFEもクライアントの関連会社からお古を調達し、これにて無批判に産業廃棄物を出すのではなく、環境負荷の軽減を最大限図っています。この過剰装飾主義と徹底合理主義のバランスは、この街の持つカオス性にとてもよく溶け込んで、多くの方に利用される場所となりました。
担当:佐藤舞子, 和泉直人