クライアントからは、再開発に向けた機運醸成に加えてソフトウェア面での支援を求められていました。ハード(建築の)計画は着々と進行している中で、ソフトの醸成が課題。このまちの駅前街区再開発が竣工するまでの約8年間、将来を見据えてのソフトウェア構築事業が始まりました。
まずはハブとなる場所の構築。舞台は駅前。しかも改札を出て一軒目という超好立地。ネオ公民館的な構想もありましたが、特定の人しか入らない場所ではなく、多くの人が豊かに過ごせる場所をつくろう!多くの人が来れるとなると、それは"衣食住"のどれかに該当するコンテンツでありたい。よし、思いっきり美味しく・豊かな時間を過ごせるカフェでありビストロであり、酒場であるような、そんな飲食店をつくろうと決めました。
人と情報が交差するビストロ
“まちづくり会社を飲食店から創り出す”
という発想に大真面目に取り組む
“まちづくり会社を飲食店から創り出す”
という発想に大真面目に取り組む

REQUEST
- 再開発が進む街を、"住み続けたい""遊びたい"街にするための拠点つくり
- PHASE#1は飲食店。多くのひとが集うカフェとビストロ酒場を開業する
- 再開発後のまちづくり会社を、飲食店から生み出す試み
所在地 | 神奈川県川崎市 |
クライアント | 法人 |
公民館でも良い。でもあえて、飲食店という選択肢
同時に確認した、まちの"リアルな声"
実はこの飲食店計画を進める数年前から、私たちはこのまちで、さまざまなイベントを手がけていました。当時はまだ住民にとって再開発自体にリアリティがなくって、それをハレーション少なく機運醸成していくことが課題でした。その中で、「どうせ進むなら、みんなでこのまちのことを考えよう!」というテーマのイベント「スイッチ!サギヌマ」を実施しており、その中で住民の皆さん自身がまちを考える企画「まちづくり神社」を展開。多くの声を集める中で特に目立ったのは、「自然豊かで緑あふれる街」や「駅前にくつろげるカフェがほしい」といった意見がとても多かったのです。
ヒトと情報が交差し、日常と未来をつなぐサードプレイス
やはり、カフェ的な空間が求められているのだな、と答え合わせができたのですが....でも単に飲食店だと、どんなに繁盛しても本来の役割を果たしたと言い難い。ここでは、食という日常の中に、アートや音楽や、知的好奇心を満たすイベントや、能動的に参加したくなるコンテンツ。そして多くのユーザーにとっても、なんだかワクワクする、ちょっとだけ日常の温度が上がる仕掛けを、飲食店のB面的に様々仕掛けていく事にしました。"ご飯を食べていただけなのに、何か楽しい"って感じが理想かな。
こうして"cafe & bistro SUBURB"は誕生した
「SUBURB(サバーブ)」とは、オーストラリアで使われている“小さな街の単位”を意味する言葉。再開発が進む鷺沼の“空白期間”に、食・アート・音・珈琲を軸に、人と情報が交差する“街の縮図のような場所”をつくりたい、という想いから行き着いた言葉です。
今では年間約5万人もの人が訪れる場所となった。地域の小学校の発表会の場所でもあるし、地元アーティストが展示会も行う。"Book to Vegitable"という本と規格外野菜の交換スキームを導入したら、1,000冊以上の本が集まる状態。この街は勢いよくうごめいている。この機運を更に加速させていくことが、次なる課題である。
今では年間約5万人もの人が訪れる場所となった。地域の小学校の発表会の場所でもあるし、地元アーティストが展示会も行う。"Book to Vegitable"という本と規格外野菜の交換スキームを導入したら、1,000冊以上の本が集まる状態。この街は勢いよくうごめいている。この機運を更に加速させていくことが、次なる課題である。
有限だからこそ、考えられること
再開発期間中の限定店舗であることははじめからわかっていたために、ものすごくローコストで創られている店舗であることを、多くの人は感じないかもしれないです。
でも、実は"切りっぱなし""壊しっぱなし"な部分も多々ありますし、什器も全て簡易的なものですし、何なら再利用できるものばかりで構成しています。これは、我々の都合で店舗をはじめたので、解体する際はゴミが極力出ない、環境に負荷を掛けないという思想からです。
でも、実は"切りっぱなし""壊しっぱなし"な部分も多々ありますし、什器も全て簡易的なものですし、何なら再利用できるものばかりで構成しています。これは、我々の都合で店舗をはじめたので、解体する際はゴミが極力出ない、環境に負荷を掛けないという思想からです。
担当 | :秋元絵美香, 和泉直人 |